江戸時代、但馬国(現在の兵庫県北部)でのこと。
ある浪人たちが度胸試しのため、化け物屋敷として知られた家に泊り込んだ。
夜更けに突然、家全体が激しく揺れ始めた。浪人たちは地震かと思って外へ出たが、揺れているのは家だけだった。
この怪異は翌日も起きたため、浪人たちは智仙という僧に相談し、一緒に家に泊まってもらうことになった。
智仙が浪人たちと共に泊まった夜、家が揺れ始めた。智仙は畳を見つめ、最も激しく揺れる箇所に小刀を突き立てた。
すると揺れはそれきり、ピタリと止まった
翌朝になって家を調べると、床下に「刃熊青眼霊位」と記した墓標があり、小刀の突き刺さった「眼」の部分から血が出ていた。
近所で人に話を聞いたところ、かつて近隣を荒らし回っていた熊を、その家に住んでいた男が殺し、祟りを鎮めるためにその墓標を建てたものの、
熊の霊に憑かれて死んでしまい、その後も霊が家の中をさまよって数々の怪異を起こしていたということである。