http://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/parkins...
パーキンソン病に伴う排尿障害は,頻尿,切迫尿意と動作緩慢が加わっておこす失禁が多く,排尿開始困難や尿閉は末
期の患者を除き稀である.男性ではまず前立腺肥大症の有無を調べる.頻尿・切迫尿意の治療に関する臨床治験は多数あ
るが,パーキンソン病に伴う排尿障害に焦点を絞った研究は殆どない.
使用される薬物は抗コリン薬,平滑筋弛緩薬,三
環系抗うつ薬などである(表 23).これらの薬物を使用する場合,尿閉に注意し尿閉を発生した場合は,前立腺肥大の有
無の検査が必要である.抗コリン薬を使用する場合は,精神症状の誘発や便秘の悪化,イレウスの発生に注意する.パー
キンソン病患者は,夜間の頻尿とこれによる睡眠障害に悩まされている場合があるので,表 23 に示したような薬物を使
用する際はまず 1 回分を就寝前または夕食後の服用から開始する.夜間 3 回以上の排尿がある場合は,薬物を使用した
方がよいであろう.昼間も 1 時間に 1 回以上の排尿がある場合には 1 日維持量を分 3 投与とするのがよいであろう.